麻雀の世界には、私のように趣味で麻雀を打つのではなく、麻雀で生計を立てている『プロ雀士』と呼ばれる存在がいます。日本にいくつかあるプロ麻雀団体の試験を受けて合格した人が、晴れてプロを名乗れるわけですが、収入源は麻雀大会の賞金、メディア出演、本の印税、雀荘に所属するなどが主なものです。そのプロたちの中で、私がひいきにしている雀士が何人かいますが、その一人に『土田浩翔プロ』がいます。
土田プロの見た目は、髪を七三もしくは五五に分け、メガネにスーツと、一見すると真面目なサラリーマンのような感じですが、その麻雀の打ち筋が一風変わっています。一言で言えば彼のスタイルは『オカルト麻雀』なのです。ここで説明しますと、麻雀の打ち方には大きく分けて二つあります。それが『デジタル派』と『オカルト派』です。『デジタル派』とは、『運』や『流れ』といった要素を否定し、あくまで数学的に、そして統計学的に麻雀を分析して勝てる確率の高い打ち方をするもので、現在の麻雀(特にネット麻雀)ではこちらが主流となっています。対して『オカルト派』とは、『運』や『流れ』を重視し、それを独自の理論でコントロールしようとする打ち方で、主に昭和世代の雀士がこの打ち方をすることが多いです。代表的なのが『雀鬼・桜井章一(新宿で20年間無敗だった伝説の雀士。)』、『雀聖・阿佐田哲也(雀士であり小説家。『麻雀放浪記』の作者。)』と言った面々でしょうか。今では時代遅れとなりつつある『オカルト派』ですが、土田プロはそんな『オカルト派』の流れをくむ人で、独自の麻雀理論を駆使して第一線で活躍している稀有な存在なのです。
彼の理論は『土田システム』と呼ばれ、中でも代表的なのが『スジ対子(トイツ)理論』です。簡単に説明すると、2を対子(同じ牌2つの塊)で持っていたら、5が対子になりやすく、9を対子で持っていたら6が対子になりやすい、といったものです。要するに2個飛ばしで牌が重なりやすいということですが、みなさんお分かりのように、これは科学的になんら裏付けがあるわけではありません。いわゆる『トンデモ理論』なわけですが、この『トンデモ理論』を大真面目に駆使して、数々の大会を勝ち、タイトルを獲得してきたのが土田プロなのです。そして彼が実績を残すたびに、彼の『オカルト理論』がにわかに信憑性を増してくるのです。
もう一つ、土田プロの魅力として、キャラクターの面白さがあります。上記の理論からも分かるように、彼は対子が大好きで、隙あらば『七対子(チートイツ:対子を7つ集めた役)』を狙いにいきます。そんな彼に付いたあだ名が『トイツマスター』、『トイツ王国の王子』で、彼が多くのファンから愛されているのが分かります。またテレビの麻雀対局での彼は、物静かで極めて紳士的なのですが、ネット麻雀になると彼のキャラクターのタガが外れます。You Tubeなどで彼のネット麻雀の配信動画を見てもらうと分かりますが、まるで素人のように喜怒哀楽を前面に出し、見ている人を飽きさせません。
オカルト雀士にして稀代のエンターテイナー『土田浩翔』、みなさん注目ですよ。
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