8月17日(月)から息子のLEED療法(大量化学療法=抗がん剤治療8サイクル目、最終サイクル)が始まりました。
私と連れ合いが仕事を終えて病室に行くと、看護師さんがちょうど夕食を運んできてくださった直後でした。ベッドの上に座っていた息子は箸を手にしているのかと思いきや、夕食のお膳の横にあるゲロ用の容器を手にして、吐き気に耐えていました。前日名鉄エムザで買っていったヒレカツとカニクリームコロッケをペロッと平らげたのに、1日でこんなに変わるものかと、唖然としました。「これでしばらく食べられないだろうから・・・」と言っていた息子の予言は見事的中しました。食事用の移動テーブルに頭を着けたスキンヘッドの息子のこめかみがひくひくと動いています。
このLEED療法というのは、前回の入院で採取した自分の造血幹細胞を移植するために、致死量を超える抗がん剤を大量に投与するそうです。そして、がん細胞が含まれるリンパ球をすべて殺してしまった上で、造血幹細胞の自家移植を行い、その造血幹細胞が新しいきれいな血を作るのを待つという治療法です。もちろん、抗がん剤のために死んではなりませんので、無菌室(クリーンルーム)への移動、白血球の投与などが行われるのですが、7回までの抗がん剤治療とは比べ物にならないほどの強い抗がん剤を大量に投与するため、副作用は想像を絶するほどだと聞いていました。
8時の面会終了時間を過ぎたので、帰ろうとすると、息子は「ありがとう。気をつけて帰ってね」と小さな声で言ってくれました。毎日仕事を終えてから内灘まで通うのは辛いですが、息子の感謝の言葉は元気を呼び起こしてくれます。
18日(火)、病室へ行くと、副作用か分かりませんが、息子はしゃっくりが出て止まらず、本当に辛そうでした。思い余って、看護師さんに言うと、しゃっくりを止める薬を点滴に混ぜてくれました。15分ほどで息子のしゃっくりは止まり、そのまま寝てしまいました。この2日間で始めてみる安らかな顔です。
『ようやくに寝たる息子の横にいて吊られし五本の点滴を見つむ』
19日(水)、病院の息子よりメールあり。「CoCo壱のカレーが食べたい」。勇んでCoCo壱によってカレーをテークアウトして持っていくと、さすがに全部は食べられませんでしたが、ほとんど平らげ、「午後ティーが飲みたい」との要求。
『CoCo壱のカレーを食べた子は元気』
20日(木)、翌日の自家移植の前日に投与するアルケランを点滴しました。その60分間に口腔内粘膜障害という副作用が出ることがあるので、クライオテラピー(寒冷療法)と言って、点滴6分前の吐き気止め注射の時から投与が終るまでずっと口の中にアイスボール(アイスの実とかアイスキューブとか)を入れて、なめてなきゃならないということでした。前日のうちに買って、看護師さんにあずかってもらっていたのをなめたということでしたが、「グレープフルーツ味のアイスキューブがおいしかった」と呑気なものです。
今日21日(金)は自家移植を行なっているはずです。どんな様子でしょうか。 俊
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