二十三回忌

麻美へ

 

あなたの夢を見ました。

あなたはどろんこ遊びをしながら

こちらを見て笑っていました。

近づこうとすると

あなたの影は

少しずつ遠ざかり

やがて目が覚めました。

 

一歳にも満たずに

あなたが死んだとき

お父さんは何もしてあげられませんでした。

あなたに薄化粧をする家族を冷ややかに見ながら

あなたに晴れ着を着せる家族にいらいらしながら

生きているうちにしてあげられることはなかったのかと。

あなたをとむらってくれたお坊さんは

とても優しいお坊さんでした。

あなたの姿を初めてご覧になったとき

ああ、なんと愛らしいお子じゃ。

そうおっしゃってくださいました。

お通夜のときには

麻美ちゃんは今

お浄土で

仏様のお膝にだっこされているんですよ。

そうお説きになられました。

お父さんは涙を止めることができず

お参りに来てくださったみなさんの前で号泣してしまいました。

でも

薄化粧をして

晴れ着を着たあなたが

泥んこまみれで

仏様のお膝にだっこされているのは

きっとしあわせですね。

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