主人公は3人の女性たち。一人暮らしをしながら大学で事務職に就いていたり、旦那と3人の子供の世話をしながら雑貨屋を開いていたり、イラストレーターとして独立していたり。それぞれがそれぞれに日常を送り、稀に交錯する。3本の曲線が重なったり遠のいたりと、互いに適切な距離を保つようにしてそれぞれが生活している。
決して、幸せな人生を送っている3人ではない。それぞれまっとうに生きているのだが、家庭や職場などでそれぞれがストレスを常に抱えている。常識からなるべく逸れないように生活をしているし、簡単にダメにならないように自分自身を日々、創り上げていく苦労も、絶やすことなく続けている3人。不便さを感じ取り、楽に生きようとも思うが、常識というタガのせいで、自分を締め付けて生きることを強いられる。そんな3人はどこへ向かい、どこへ辿り着くのか―。
主人公たちは、決して楽を選ばない。自分を磨き、ツヤをだし、何より自分に負けないよう、努力し続ける。そんな主人公たちに、自分は、「楽より苦を選ぶ」ことの美しさを感じ取る。苦を選ぶ生活が決して良いことではないのは言われずとも自覚している。しかし、苦労を知らずして大成することがない事もまた自覚している。自分も見習わなければ、と、深く自意識の中に沈み込んだ。
自分は、楽は選べるものなら選びたいと当然思うし、でも、苦労してこそ楽があるとも確かに思う。ぬるま湯に浸かりながら何かを得ようという考えは最良ではないだろう。誰しも楽に生きたいが、叶わない事柄もたくさん含むのが「楽な生活」。見た目が楽そうでも、楽ばかり獲っていては何も得られずに日々過ぎていく。ならば、苦労から楽を知る生活を送ることが最良なのではないかなぁと、いくらか思う。苦労知らずの下剋上はない。苦労人になるのも、悪くないかも。読んでよかった。
ゆうき
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さかな屋 (木曜日, 14 11月 2013 15:38)
「♪ タクシードライバー 苦労人と見えて 私の泣き顔見て見ぬふり ♪」
という歌詞が浮かんできました。