主人公は裕福な家庭に生まれ、何事にも関心のなさそうな父と、厳格な母に育てられた、15歳の中学生。大学までエスカレーターの女子校に通っている。
はたから見ればこの上なく幸せな人生を送っているように見える。しかし、主人公は何もかも親に物事を決められることが何よりも苦痛で、ついに家出をしようと決意する。
しかし、決意しただけでは家出はできない。住む場所が必要だった。そんな折、小学5年生のときに転校していった同級生の女の子と駅で偶然再会し、その子は「プチ家出(たまに家出してたまに実家に帰る家出)」をしているという話を聞く。主人公は、「その子についていくしか自分の居場所は見つけられない」と感じ、マンションの一室にその子とすむことに。その部屋は別名「シェルター」と呼ばれ、家出をしてきた子供たちの「避難所」となっていた。それぞれが色々な理由で家出をし、そこで暮らしている。主人公はその部屋の住人となるのだが―。
この作品の主人公は中学生で、人生に(主人公の中に)何が「流れて」いるのか、それがわからず、衝動的に家出をしてしまう。読んでいる自分も、何を持って(流れて)いるのか、よく解らない。ぼやーっと浮かんでは消える。何が流れているか自覚できる人生を送っていくことは楽しいのだろうと思うが、自分はまだその領域に入れずにいる。主人公の気持ちがわかった瞬間だった。また、自分のことなのに自分に決定権がない、というのもとてもつらいだろう。自分の人生は自分で決めればいいと個人的には思う。自分の事なのだから、自分の思った通りに動けばいいと思う。ただ、道しるべは必要だろう。助言をうかがうことも大切だ。その上で、結論を自身で導けばいい。それは自分も学ぶべき概念だなぁと反省した。
本自体は、とても読みやすかった。流れが速く、2時間で読み終えた。小松図書館で借りた本なので、あれば借りてみてもいいと思う。読んでよかった。
ゆうき
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