8月20日(火)金沢の赤羽ホールで小松座の「頭痛・肩こり・樋口一葉」を見てきた。
劇作家・井上ひさしが、自身の戯曲を上演する「こまつ座」の旗揚げ公演に際して書き下ろした劇を、ひさしの死後、新たな演出でよみがえらせたもの。明治の天才女流作家・樋口一葉と様々な境遇を背負った5人の女性が織りなす、切なくて楽しい、幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる物語をキョンキョン(小泉今日子)らが演じた。
【あらすじ】明治の半ば、樋口の家は貧しかった。父や兄に先立たれ、長女・夏子(樋口一葉)は、孤軍奮闘する日々を送る。小説で身をたてる以外に道はないと悟った夏子はただひたすら筆を走らせる。「ただ筆を走らせるためだけに身体をこの世におく」とそう心に決めた時、夏子の前に現れたのは、彷徨える幽霊の花螢だった・・。夏子と花螢のユーモラスな交友、そしてたくましく生きる明治の女性たちの姿を主軸に描かれる井上ひさし版樋口一葉像。
作 :井上ひさし 演出:栗山民也 出演:小泉今日子、三田和代、熊谷真実、愛華みれ、深谷美歩、若村麻由美
【感想】「こまつ座」の公演と言うか、井上ひさしの作品は好きなので何度か見ているが、20年ほど前に金沢であった公演で石田えり(?かなり昔のことなので自信はないが)扮するストリッパーが素っ裸になる(多分そんなスーツを着ているのだろうが)シーンがあって、当然盛り上がってしかるべき場面なのに、会場がシーンと静まり返ってしまい、石川県民の観劇レベルの疎さに冷や汗をかいた覚えがある。
私の知るところでは今年の1月に「組曲 虐殺(出演:石原さとみ、高畑淳子)」が久々に本多の森ホールであって以来の「こまつ座」の公演である。そのときはシリアスなテーマを笑いを交えて演じてくれて、結構シビアに盛り上がった。
今回は、浮き浮き、そして、ちょっと冷や冷やして出かけた赤羽ホール。座席数500と、こじんまりしていて、観劇には絶好だ。ストーリーが進むにつれ、幾度も「ひさし流の」どんでん返し、堂々巡り、風刺が織り込まれ、客席は笑いが絶えなかった。幽霊となり、身体だけをこの世に置くと覚悟してから幽霊が見えるようになった一葉の前に、彼女の周囲の女性たちが次々と幽霊となって現れるのが予想できて、失笑の渦。最後には、一葉までが幽霊となり、舞台に現れる。
客席はスタンディングオーベーションで拍手の渦の中、幕を閉じたと思いきや、また、幕が上がりキャストが手を振る。それが何度も繰り返され、やっと本当の終焉を迎えた。
結果的には、演劇自体も、石川県代表の観劇者の反応も満足できるものであった。by俊
コメントをお書きください
stone (金曜日, 06 9月 2013 11:48)
大人になってから、一度だけ演劇を観に行ったことがありますが、
内容は憶えてないものの俳優さん達の細かい動きが、間近で感じることが出来て
その臨場感に感動したことをおぼえています。(^^)
俊 (金曜日, 20 9月 2013 08:08)
映画にしても演劇にしても、劇場で見るのは迫力がありますよねえ。