最近何冊か読んで、感慨深いものがあったので、紹介したい。読んでほしい本!とかではないので、読み飛ばしても良いです。
「プリズムの夏」
映画鑑賞が趣味の「主人公」と、同じ高校の同級生の「友人」。この二人がいつものように映画館に行くと、受付に妙齢の「女性」が座っていた。「気になる女性」として二人が意識するようになってから、その「女性」を振り向かせようと、二人は躍起になる。しかし、つれない反応を繰り返すばかりの「女性」に二人は困惑する。その後、あるとき、「友人」は「アンアン」なるハンドルネームのネット上の人物を見つけ、「女性」が「アンアン」なのではないか、と「主人公」に伝える。最初は相手にしなかった「主人公」だが、「アンアン」が精神的に危うい状態にあると知り、「女性」とは別人だと思いつつ、もし同一人物だったら、と気が気でない状況に追い込まれる。その後、「主人公」は「女性(アンアン)」を助けたい、と思うようになり、ついに「アンアン」と「女性」の共通点から、同一人物であるという決定的証拠を掴む。はたして、「主人公」と「友人」は妙齢の「女性」を助けることが出来るのか…。
主人公が高校生ということもあり、難しい表現もなく、スラスラ読むことが出来た。みずみずしいのに毒々しい。将来に不安や焦りを感じ始める高校3年生の葛藤や、精神的に病んでいる「女性」の生きる希望になろうと必死に影を追う躍動感。もがき苦しんで最後に希望を掴む主人公たち「三人」に素直に感動した。読後感がスッキリさっぱりしたものではなかったので、面白かったが2度読みは無いなという感じ。それでも、病んでいても健常でも、現実は厳しく、甘ったれた考えでいてはいけないな、と、思わされるものがあった。
読んでいて、背景が自然と浮かんでくるこの作品。グロテスクな表現もあるが、読み終える頃には、「順風満帆に生きることの難しさ」を心に留めることが出来て、「読んでよかった」と思える。本屋で見つけたら、手に取って斜め読みしてほしい。魅力がわかると思う。
ゆうき
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