異常に家電好きな父は異常ではない
我が家は電化製品であふれている。サイクロン系掃除機5~6台、液晶テレビ5台、洗濯機3台、冷蔵庫2台、冷凍庫2台、空気清浄器4~5台。これらはほぼ全て父が購入した品だ。ちなみに家族構成は大人4人、幼児2人の6人。どう考えても電化製品が多すぎる。冷蔵庫と冷凍庫に至っては、各1台ずつ電源も入れずに廊下で待機(放置)しているだけなのである。
それ以外にもホットプレート系などは専用の棚が必要なほどで、棚の中には焼き肉用だの鍋用だのなんだのと、用途不明のホットプレートも詰め込まれ、それでも入りきらない物は蔵の中で出番を待っている。さすがに掃除機の横に掃除機が2台置いてあった時は、注意はしたが、本人はどこ吹く風でまったく気にしていない。気にするどころか、むしろ「俺の買った物に注目している」と、満足げでもあるので手におえない。
以前、私の子供が父のパソコンのエンターキーを力一杯連打して壊した時などは、怒るよりも新しいパソコンが買える事を喜んでいるようにさえ見えた。
父に対して、母も私も「買う必要はないし、使う予定もない」とさんざん言ってきたが、日中こっそり出かけては購入。テレビショッピングを見ては購入。見かねた母と私が難色を示すと【町の電気屋さん】を呼びつけ、加勢させてでも購入。といった具合で、新たな電化製品を購入し続けてきた。
最初の頃は、父がいいカモにされて無理やり購入させられているのかと、心配したこともあったが、それは全く違い、父は積極的に自らの意志で購入しているのだ。
ある時、何気なく友人にその事を笑い話の一つとして話してみると、程度の差こそあれ、男性は電化製品に対して財布の紐が緩む傾向にあると聞かされた。
女性が物を買う基準と、男性が物を買う基準とは大きく異なり、女性は『共感(皆が買っているだけあって、この商品は間違いなく良い)』や『買うまでの過程(店員にちやほやされながら)』が買い物をする上で重要とされるが、男性は『高スペック(性能、新製品)』や『結果、勝負(財力の誇示。最良の品を最良のタイミングで、最低限の出費で)』を重要視するらしい。
それを踏まえて思い返せば、確かに父も何かを購入する度に、誰一人として聴いていなくても延々と機能の説明をしたりしていた。他人様に見つかるとかなり恥ずかしいのだが、父が支払った全ての品には、購入日と購入金額が記されており、それは電化製品にとどまらず、増築された部屋の柱から最近付け替えた水道の蛇口にまで及んでいる。父は、それらの記載項目を手掛かりに、新製品との比較検討をし、さらなる高スペックな品を求めては新たな買い物をしていたのだろう。
かつての大型家電量販店といえば、ただ大量の電化製品が陳列・販売されているだけだったが、今では玩具やCD・DVDの他、ホビー関連も各種取り揃えており、最近では、目を輝かせて延々と商品を物色する父親と子供を、半ば呆れ顔で母親が見守る姿が多く見受けられる。
このことから見ても、男性にとっての電化製品は、趣味や玩具に通じる所があるのかもしれない。「お前のよりもカッコイイロボットだろ!腕も脚もロケットになって飛ぶんだぞ!俺の家は金持ちだから新しい玩具たくさん有るんだぞ!」なんて声が今にも聞こえてきそうだ。
世のご主人方に「子供に新しい服が必要だから節約して」と頼んだところで、上の空かもしれないが、「うちのテレビの映りも最新のものに比べると落ちるよね」なんてボヤキを一言でも耳にすれば、頭の中は既に【お買いものモード】に突入してしまうことだろう。
「このボタンを押すと袖が伸びて長袖になるのよ!それにこっちの紐を引っ張ると一瞬で手のひらサイズに縮まるの!」そんな夢のような洋服が発売されれば喜んで買ってくれそうだが、残念なことに欲しがる女性はまず居ない。
仕事で忙しくほとんど見ることもできないテレビを、「寒い!」と消されるエアコンを、「近所迷惑」とコードを抜かれるオーディオを、彼らは買わずにはいられないのだ。その姿は「目に悪いからゲームは1時間」と注意をされているのに、ついつい新作ゲームの購入にお年玉を使ってしまう子供によく似ている。
見方を変えただけで、なんとも可愛く思えてくるのは私だけだろうか?
これからの時代、デートや家族サービスの必須項目に【大型家電量販店】が入る日も近いのかもしれない。
ひまわり花子
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kei (火曜日, 09 7月 2013 17:21)
我が家にも通じるものがあって、大笑いさせてもらいました(^^)